11月 塾長日記

11月2日(金)
 NHKの「プロジェクトX」と言う番組は、本当にいいなぁー。毎週木曜日の夜中にやる再放送しか見られないけど、毎回かなり感動するよ。自分の全身全霊を傾けて(単純に一所懸命ではなく・・・)あることを成し遂げた人たちは、本当にすばらしい言葉が、自然に出てくるもんだと感心しっぱなしです。本当に「心にじぃ〜〜んとくる、気負いも傲慢も何も感じない言葉」や「やってきたこと、背負ってきたものを感じさせる言葉」に目もうるうるしてしまいました。
 昨日は「三億円事件」にかかわった鑑識課の人たちの話だったけど、解決できなかった悔しさをバネに、昭和61年の事件への執念とも言える取り組みが、奇跡を起こした時には、本当に「うるうる」してしまいました。そして最後に、「何事もくさっちゃいけない。熱い心で取り組むこと。それには好きになること、好きだからこそできる。・・・・」 この人が言うから、言葉に重みが出るんだなぁーと思いました。 私もがんばろっと!!
11月5日(月)
 明日から「横浜市診断テスト」だ。この1〜2週間はずっと対策をしてたけれど、みんな前学年のことをだいぶ忘れてるみたいです。1年くらい前にやったこともあるので無理もないかな?けれど今回いい復習になったと思います。3年生の中には、過去問を買わずにやり過ごそうとした子もいるけど、理科や社会などは良い復習の機会になるので、何とか買わせたのは良かったと思う。みんながんばれ!!
 「読書の秋」だからと言うわけではないけれど、今、朱子が編纂したと言われる「小学」を読んでいます。何回目かは忘れたけど、ふと前回の「プロジェクトX」のことを考えていたら、また読みたくなったので・・・・。
「鹵莽にして煩を厭う者は決して成ること有るの理無し。」
「ろぼう にして はん をいとうものは けっして なる ことあるの り なし。」・・・何事も手を抜かず、こつこつと手間ひまかけて、事を進めて積み重ねていかなければ、決して成ることはない。一燈照偶 万燈照国。
11月8日(木)
 昨日ようやく「横浜市診断テスト」が終わった。でもあと2週間ちょっとで、今度は「期末テスト」。テストテストでかわいそうな気もするけど、これも緊張感を持って授業に臨んで、自分を鍛えるためだと思って欲しいです。
 話題が変わるけど、子供達の目線って、本当に子供の考えている範囲、興味のある物しか見えてないんだなーと思いました。午後学校帰りの子供達を見ているとつくづく感じる。たとえば大人は(私は)、遠くに知っている人や塾生がいればすぐわかります。でも塾生であっても、私とすれ違っても気がつかない。と言うより大人を見ていないので、どこかのおじさんとすれ違ったくらいしか思っていないようだ。当たり前と言えば当たり前だけど、ちょっと寂しい気もしました。でも目の前に「変な人」がいても気がつかないって事だから、ちょっと怖いね。警戒する必要はないけど、もっとアンテナを立てて、まわりのことに興味を持った方がいいかも。
11月13日(火)
 最近、考えられないくらい悲しすぎる事件が、日本だけでなく世界中でも起こっている。みんなそれぞれに理由は有るんだろうけど、そんな事件を起こすことを考えたり、行動してしまったりする状況に、同じ人間がどうしてなってしまうんだろうと考えてしまいます。世界中の人間だけでなく、全ての生物に対する何かの歯車が噛み合わずに変に回転しているように感じてなりません。
 筑波大学名誉教授の村上 和雄さんが書いた「生命の暗号」という本があります。遺伝子の研究によって分かった「ヒトの可能性と素晴らしさ」について分かりやすく書かれています。前書きにこんな言葉がありました。
・・・「サムシンググレート」としか形容できない不思議な働きが、全てのヒト、生物の中にあるということを知っていただきたい。ヒトの遺伝子暗号の配列の差は、せいぜい0.1%しかなく、全てのヒトにすばらしい可能性が書き込まれています。この事実を知り、自分の花を見事に咲かせていただきたい。・・・
11月16日(金)
 前回に続いて「生命の暗号」から少し紹介したいと思います。
 私たち人間の体内には六十兆の細胞があって、その一つ一つがみんな「生きて」います。六十兆という数は、地球上の人口六十億の一万倍あります。地球の全人口の一万倍の生命が私たち一人ひとりの体内に宿っていて、ぎっしりと隣接しあいながら、ケンカも混乱もせずにきちっと支え合って生きているんです。見事なまでに調和し、それぞれ自立的な生命を営みながら互いに助け合って組織を作り、臓器を作って個体を生かしているんです。このこと一つをとっても、科学の原理を越えた、生命の奇跡と言えると思います。
 そんな奇跡を起こしているほとんどの人間は、そのことに気がつくこともなく、考えもしないで、「自分」を「他人」を大切にすることなく、傷つけてしまうんです。何かの歯車が狂っているように感じます。一燈照偶 万燈照国。
11月17日(土)
 「泣きっ面に蜂」とか「笑う門には福来たる」「病は気から」などと言いますネ。「ことわざ」や「格言」には、本当に感心するくらいすばらしいものがあります。全て実生活から生まれた言葉だと思いますが、非常に多くのことに「遺伝子」が関係している事が分かってきたようです。
 人間には生命維持に必要な「意味のある部分=遺伝子」と「意味のない部分=ジャンクDNA」があって、「意味のある部分は全DNAの5%位しかないそうです。後の95%は直接生命維持には関与していない、まだ不明な部分だそうです。でもあるきっかけで、眠っていたDNAのスイッチがONになったり、活動していたDNAがOFFになって停止してしまうこともあるそうです。そのきっかけは偶然性もありますが、意図的に作り出すこともできるんです。それは「〜したい!」「〜なりたい!」と強く思って、続けていくことだそうです。本当のプラス思考人間は「今に精一杯取り組んで、やり続ける。途中でつかえたらやり直す」ことができるヒトのことなんです。成功者の多くは遺伝子ON型人間だそうです。私も頑張るからみんなも頑張りましょう。
11月24日(土)
 今日ようやくテスト対策が一段落しました。恒例の「技能教科対策プリント」も全中学の全学年で配布したし、過去問題プリントもかなり配れたんで、後はしっかり各自やって、復習を繰り返して欲しいです。
 今週は今日まで毎日が戦場のようで、そこらじゅうでみんな勉強していたな。勉強方法を教える良い機会だったんで気を付けていたんだけど、うまくやってる子が多かったと思います。練習して覚えることと、演習することの繰り返しなんで、是非「集中して短時間で済ませて休憩する」ことを繰り返して欲しいです。私の口癖だけど、「勉強しすぎて死んだ人はいない!」から安心して頑張って下さい。
 今また「脳」についての本や情報番組が増えてきたけど、一生脳を使ってもその能力の半分も使っていないのが「脳」だそうです。しかも使えば使うほど「脳」は活発に働いて、良いことがたくさんあるのだそうです。特に若い人はドンドン使いましょう!
11月28日(水)
 今日で公立中学の期末テストが終わった。結果を回収して、又先生達と指導方法や進め方の話をしよう。そして中3生とは、進路の面談と父母面談を開始して、他の学年もできるだけ2学期中に面談をして、冬期講習の指導に活かしていかなければならないナ。しかも来週からは、私立中学・高校と公立高校のテストが集中しているし、冬期講習のガイダンスもして、全県模試や入試答案練習会もあるし・・・・。
 12月を「師走」とはよく言ったもんだ。昔なぜ12月を「師走」と言うか聞いたんだけど、忘れてしまった。知ってる人がいたら教えて下さい。
11月29日(木)
 昨日ニュースで、小泉首相が田中大臣に江戸時代の儒学者(国学者)佐藤一斎が書いた「重職心得箇条」の一節を渡して、「大臣の心得」についてアドバイスをしたと言うことだった。その後のニュースの解説者の話が何か変だったのと大臣もキャスターも知らなかったのかなーと思って、不思議に感じました。
 今の政治家や会社のエライ人は、「古典」を学ばないのだろうか?戦争を経験して偉くなった人たちのほとんどは、「論語」から始まり、「大学」、「孟子」や明治天皇の愛読書の「宋名臣言行録」、北条政子が感激して、源頼朝にも読ませた「貞観政要」、そして佐藤一斎の「言志四録」などを座右の書としていた人が多かったんです。いつかみんなも読んでみて下さい。きっと勉強になる日が来ると思います。 
続き
 佐藤一斎・・・(1772〜1859)美濃の岩村藩の家老の子息。幕府の大学の昌平坂学問所で学頭、林述斎の後を継承し、安政六年八十八歳でなくなる。「重職心得箇条」は出身の岩村藩のために選定した藩の為の十七条憲法。明治以来所在不明となったが、大正時代に東京帝大の図書館の蔵書の中から発見され、出版されるようになった。弟子の中で特に有名なのが、佐久間象山と山田方谷。
 以上佐藤一斎の紹介だけですが、私は弟子の「山田方谷」が大好きです。この人は、備中松山の小藩板倉藩の家老を勤め、藩公板倉勝静が幕末の老中をしていたため、幕末の動乱に巻き込まれながら実に良く善政を行って「貧乏板倉」と呼ばれていた藩を、一度旅人が足を入れると「これが板倉藩だ」と感心させたほどの人です。弟子の一人に、あの長岡藩の河井継之助がいます。同じ頃米澤藩に有名な上杉鷹山がいますが、何十倍もすごい人なんです。藩を立て直した「理財論」を是非政治家に読ませたいですネ。